平成最後のお正月だからこそ知っておきたい『おせち料理の意味』
最近では、おせちを食べなくなっている家庭も増えていると聞きます。わたしの実家でも、食べきれないという理由で、おせちづくりに熱心だった祖母が亡くなってからは買うことすらしなくなってしまいました。
でも、それってすごく悲しいことのような気もします。みなさんも一緒にちょっとの時間でおせちひとつひとつの“意味”を見てみませんか?
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おせちの始まりは?
おせち料理は、漢字では『お節』と書きます。『節(せち)』とは暦上の『節句』の意味でもある『節日(せちにち)』のこと。その際に食べる料理をおせち料理と呼んだため、現在では節句の一番目にあたる正月の料理を表す言葉として使われています。また、おせち料理は“めでたさを重ねる”という意味で縁起をかつぎ、重箱に詰めて出されることが一般的です。
おせちはほとんどが保存食。その理由は?
みなさんが思い浮かべる、代表的なおせち料理。そのほとんどが、生ものはなく、保存食であるということをご存知でしょうか。その理由は、本来神様を迎える日といわれるお正月のシーズンに、「台所を騒がせない」ということを目的としており、お母さんがお正月の三が日の間、台所に立たなくてもいいように、という想いも込められています。
年末の大みそかまでにおせち料理づくりを終えるようにする、ということもそれが理由なんですね。
縁起のいいおせち料理の云われとは?
おせち料理にはひとつひとつに意味があります。中でも代表的なものをいくつかご紹介していきましょう。
黒豆
『まめ』には本来、『丈夫に』『勤勉に』という意味があります。そこで、黒く日焼けするほどマメに働けるようにとの願いが込められています。「あの人は、よくマメに動くよね」という言葉もよく聞きますね。
紅白かまぼこ
半円形の形は『日の出』を象徴するもの。紅色はめでたさと慶び、魔よけの意味を、白色は神聖さを表しています。
栗きんとん
きんとん、は『金団』と書き、金運を招くものとして考えられました。また、栗は『山の幸』の代表格。『勝ち栗』といって、縁起が良いものとして重宝されています。財力の豊かさと勝負運を上げることが願われています。
伊達巻き
長崎から江戸に伝わった『カステラかまぼこ』が伊達者(おしゃれな人たち)の着物に似ていたので、『伊達巻き』と呼ばれるようになりました。また、昔は書物や絵を巻物にしていたので、「知識が増えるように」という願いも込められています。
数の子
ニシンの卵である数の子は、卵の数が多いことから『子孫繁栄』を願う縁起物。『二親(ニシン)』から多くの子が出てくるのでめでたい、という意味もあるようです。
昆布巻き
昆布の『こぶ』は、『喜ぶ』という言葉にかけられています。また、『子生(こぶ)』から子孫繁栄、正月のお供え物にも用いられるということで、一家発展の願いがあるなど、様々な想いが込められています。
田作り
『田作り』とは、カタクチイワシの稚魚を干して飴色に炊いたもの。かつて、イワシを肥料にすると豊作になったことから、五穀豊穣の願いが込められています。
海老
『海老』という漢字は、もともと、海老が長いひげを生やし、ゆでると、まるでお年寄りのように腰を曲がらせることが由来とされています。そのため、おせち料理において海老は「いつまでも長寿でいられるように」という願いを込めて使われています。
紅白なます
その色合いがお祝いの『水引き』に似ているということから、平和や平安を願うおめでたい正月料理のひとつです。酢の物であるなますは、豪華な料理が多いおせち料理の中で箸休めの存在としても重宝されます。
たたき牛蒡(ごぼう)
ごぼうは、地下深くに根を張ることから、『家の基礎が堅牢である』『根気が付く』『家が繁栄する』という意味が込められています。ごぼうは、細く長く幸せに、しっかり根を張って生きていこう、という縁起のいい食べ物だったんですね。
家族で意味を感じながら食べることの大切さ
こうして改めて調べてみると、縁起のいい云われやしきたりがたくさんありました。しかもそのどれもが、『家族の幸せ』を願うものばかり。いつもは当たり前に食べていて気に留めたこともなかった『おせち料理の意味』。今年は家族と一緒に、そこに込められたたくさんの思いを感じ、話しながら食べてみてはいかがでしょうか。
日本の伝統をきちんと後世に伝えていく、ということも、我々大人にできる大切なことなのかもしれませんね。
photo/PIXTA
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