命に関わる●●の誤飲!部屋を片付けて乳幼児の誤飲を予防しよう
何でも口に入れてしまう乳幼児。目を離したすきに「あんなものを口に入れようとしている!」とひやっとした体験のある方も多いのでは? 身の回りの電気製品によく入っている●●は要注意。もしも飲み込んでしまった場合、大変なことになってしまうのです。
●●を飲み込むとどうなる?
身の回りの電気製品によく入っている●●とは「ボタン電池」のこと。おもちゃや生活用品などに使われているボタン電池は、ころっと小さくていかにも子どもが間違って口に入れてしまいそうです。実はかなりの危険物。
のどに詰まらせて窒息の危険、だけでなく、食道や胃の内壁に張り付くと、電池が腐食して「化学やけど」を起こしてしまう恐れがあるのです。
「化学やけど」ってあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、熱いものを触ってできるやけどのように、強い化学物質(酸やアルカリ)に皮膚が触れたためにできる障害のこと。ボタン電池が体内に入ると、電気分解が起こってタンパク質を溶かす液体ができ、食道を傷つけたり、電池内の電解液が漏れて胃の内壁が損傷する危険があります。
実際におきた事故をご紹介しましょう。
<事例1>タイマーの蓋を取って遊んでいて電池を誤飲しカテーテルで摘出
タイマーの蓋を取って遊んでいるのを母親が発見。中にあるはずのボタン電池が見当たらず受診。腹部レントゲンで胃にボタン電池を確認したため、マグネットカテーテルにて摘出。ボタン電池は黒色に変色していた。(事故発生年月平成25年8月、1歳・男児・軽症)
<事例2>おもちゃが壊れ、中のボタン電池を誤飲しカテーテルで摘出
おもちゃが壊れ、中のボタン電池を誤飲。最初に受診した病院で腹部に電池があることは確認できたが、マグネットカテーテルがなく、別の病院へ搬送、摘出。(事故発生年月平成25年12月、0歳・女児・軽症)
<事例3>電池保管のケースの蓋を開けて誤飲、摘出手術後ICU収容
電池を入れておくケースの蓋が開いていた。丸い電池が1個見当たらず受診。レントゲンにて電池を確認、摘出手術。手術後ICU収容。組織破壊が進んでいたため、食道に穴が開きかねない予断を許さない状態にて、約1か月間入院。電池は起電力3Vの新品のコイン形のリチウム電池。(事故発生年月平成26年1月、2歳・男児・中等症)
<事例4>LEDライト付き耳かきの電池を誤飲し気管と食道に穴が開いた
引き出しの中に収納しているLEDライト付き耳かきが放り出してあり、子どもがコイン形のリチウム電池を誤飲したことがすぐに分かった。病院にて9時間かけて取り出したが、放電の影響で気管と食道に穴が開き、2か月入院した。しばらくは食事が取れず、固形物を受け付けなかった。(事故発生年月:平成25年8月・1歳・男児)
乳幼児(特に1歳以下)のボタン電池の誤飲に注意! -重症化することを知らない保護者が6割も!!-
万が一、ボタン電池を飲み込んでしまったら?
消費者庁によると、ボタン電池の誤飲事故が一番多いのが1歳児で、0歳、2歳も少なくありません。目の離せない年頃はやはり周りの大人が注意しておく必要がありそうです。
万が一ボタン電池を飲み込んでしまった場合は、その場で出せるようならすぐに取り出します(吐かせることができるなら吐かせます)。
取り出せない場合は、できるだけ急いで医療機関へ。誤飲したかどうかわからない場合でも急いで受診するか「#8000」(全国統一)に電話で相談するなどしてくださいね。
ボタン電池の誤飲事故を防ぐために
ボタン電池の誤飲事故を防ぐために、次のような対策をとりましょう。
・ボタン電池を使っている製品は避ける
・子どもの手が届くところにボタン電池を置かない
・子どもの前で電池交換をしない(外し方を覚えてまねをしてしまう)
・電池を入れる部分が外れるようになっていないかチェックする
・子どもから目を離さない
乱雑に散らかった部屋では、ボタン電池など小さなものは行方不明になりがち、できるだけ片付けておくのも、大切なポイントかもしれません。
(ライター・曽田照子)
子育てNGワードの専門家。著書に『子どもが自信を失う66の言葉』学研パブリッシング『子どもに言ってはいけない55の言葉 (マミーズブック)』メイツ出版等多数。
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