ご存知でした?共働きの妻が受け取れる公的な制度からの給付4つ
現状の税制や年金制度の面で、専業主婦は共働き妻に比べて優遇されているとよく言われます。しかし、社会保険に加入している働く妻だからこそ、活用できる制度がいくつかあります。育児や介護に関する公的な給付と、将来受け取れる年金についてまとめました。
Contents
「出産」「育児」「介護」で受けられる給付と、将来の「年金」
【1】出産前後に仕事を休む場合に支給される「出産手当金」
出産の前後は会社を休みますが、このときに会社から給料が出ない場合があります。そんなときは、健康保険の「出産手当金」が支給されます。出産日(予定日より後に出産した場合は出産予定日)以前42日目(双子など多胎妊娠の場合は98日目)から出産の日の翌日以後56日目までの範囲内で会社を休んだ期間分支給され、その額は給料のおよそ3分の2です。
【2】育児休業を取得した場合に支給される「育児休業給付金」
出産後も働き続ける場合、子どもが1歳になるまで(保育園に入れないなどの理由があるときは1歳6ヵ月まで延長できる)、育児休業が取得できます。この間給料がもらえない、もしくは給料が支給されても一定基準を下回った場合は、雇用保険の「育児休業給付金」が支給されます。
受けられる条件は、育児休業開始前の2年間に、賃金支払基礎日数(給料の支払いの対象になっている日)が11日以上ある月が、12ヵ月以上あること。支給額は、最初の半年が給料の約67%、それ以後は給料の約50%です。
【3】家族の介護で仕事を休むときに支給される「介護休業給付金」
家族の介護で2週間以上にわたって仕事を休まざるをえない場合は、介護休業が取得できます。この間給料がもらえない、もしくは給料の支給額が一定基準を下回った場合は、雇用保険から「介護休業給付金」が支給されます。ここでいう家族とは、配偶者、父母、子、配偶者の父母が対象。そのほか、同居かつ扶養している祖父母や兄弟姉妹も対象になります。
受けられる条件は、育児休業給付金と同様、介護休業開始前の2年間に、賃金支払基礎日数(給料の支払いの対象になっている日)が11日以上ある月が、12ヵ月以上あること。介護休業給付金の支給額は給料の約40%で、原則として1回の介護休業期間に対して(最長3ヵ月まで)支給されます。介護する家族の要介護状態が変わり、複数回介護休業を取得した場合は合計93日分まで介護休業給付金が支給されます。
【4】将来受け取れる「老齢厚生年金」、社会保険料が出産前後は免除に
サラリーマンや公務員の夫に扶養される妻は「国民年金第3号被保険者」と呼ばれ、国民年金保険料を支払っていませんが、将来、年金が支給されます。一方で、社会保険に加入している共働きの妻は、厚生年金保険料を支払っています。そんな状況から、年金制度面で専業主婦は優遇されているとよく言われますが、必ずしもそうとは言い切れません。
まず、将来受け取る年金額に違いが表れます。夫に扶養されている期間に対して受けられる年金は「老齢基礎年金」のみですが、会社員として働き、厚生年金保険料を支払っている期間に対しては、「老齢基礎年金」に加えて「老齢厚生年金」が受け取れます。
また、給料から天引きされている社会保険料(健康保険と厚生年金保険)は、出産前後や育児休業期間中については支払いを免除されるのはご存じでしょうか。しかも、将来年金をもらうときには、育児休業前と同額の保険料を支払ったものとして年金額が計算されるのです。
【終わりに】
子育て支援体制は整いつつある
育児をしながら働く人のための制度は、過去に比べると少しずつ支援体制が整ってきています。子育てをしながら働き続けるのは大変なことですが、これらの支援を活かしながら豊かな生活を築いていきたいものです。
※それぞれの制度は、2015年8月現在の情報をもとにしています。また、パートタイマーなどで社会保険に加入していない場合は適用されません。
この記事を読んでいる人は
こんな記事も読んでいます