子どもがお友達を叩いた!?絶対にやってはいけない『しつけ』とは?

子どもがお友達を叩いてしまったこと、ありますか?

幼稚園や保育園で集団生活をするようになると、「叩いた」、「叩かれた」という話をよく聞きます。自分の意思を通したかったとか、言葉で上手く気持ちを伝えられなくて手が出てしまったとか、原因はさまざま。そんな時、あなたは親としてどう対処しますか?

今回は子どもの成長過程で変わっていく『叩いてしまう理由』と『絶対にやってはいけない、しつけ方』をご紹介します。

叩いてしまう原因と対処法

『叩く』という行為は感情の表現方法のひとつで、子どもの発達の段階によってその意味合いが変わってきます。乳幼児の発達は個人差が大きいので、年齢を目安にして発達段階を確認しながら原因を探ってみましょう。

0~1歳児

身体機能が発達してきて手や足を動かし、手を叩く動作や音にも興味を持つ頃。しかし、まだ力加減がわからないので強く叩いてしまうことも。自我が芽生えてくると、叩きながらぐずったりして不満や要求を『叩く』という動作で表したりします。

■対処法

まだ『叩く』という動作ができるだけで、意味はわからない年齢です。叱らずに、叩いてしまった手をとり「ダメだよ」と優しく言葉をかけましょう。「ペンペンしないで、なでなでしようね」となでるように導いてあげるのもいいですね。叩いた時に「痛いよー」と大げさに痛がるマネをして見せるのも効果があります。

2~4歳児

イヤイヤ期と呼ばれる反抗期。「こうしたい!」という意志が強くなる反面、うまく言葉がでないので叩いてしまうことがある時期です。そのため、「おもちゃをとられた」とか「一緒に遊びたいのにどうしたらいいかわからない」など、嫌な気持ちや不安に思った時に叩いてしまうことがあります。その他にも、弟や妹が産まれたことで寂しさを感じて、自分に注目してほしいことを『叩く』という行為で表現することも。

イヤイヤ期はどうしても叱ることが多くなりますが、いつも感情的に怒られていると不安感や恐怖心がストレスになり、叩いたり乱暴な行為をすることがあります。

■対処法

お友達を叩いてしまった時は、まず相手に「ごめんね、びっくりしたね」と謝ります。ママが謝る姿を見て「叩いたらダメなんだ」ということを学ばせましょう。そして「叩いたらダメ。お友達、痛かったと思うよ」と叩くのはよくない行為だということを教えます。

また、どうして叩いたのかを理解し、子どもの気持ちに寄り添ってアドバイスしてあげることも大切です。「一緒に遊ぼう」や「おもちゃ貸して」など、相手にどう伝えたらいいのかを丁寧に教えることで、叩くことではなく言葉で表現する術を覚えていきます。

とはいえ、叱ることが多くなるイヤイヤ期。だからこそ、スキンシップを大切にしましょう。伝わらないもどかしさや不安感で叩いてしまっている場合、手をつないだり抱っこして安心感を与えてあげるのが効果的です。

5歳児

言葉が発達し、気持ちを表現できるようになるとだんだん叩かなくなります。それでも乱暴な行為が続く場合は、「言葉で伝えられない」ということ以外の原因に目を向けましょう。ストレスや不安感、自分に関心を持ってほしいなど、親への欲求を乱暴な行為で表していることがあります。エネルギーがあり余って乱暴になってしまう場合もありますが、ADHDなどの発達障害の兆候ということも考えられるので、気になる場合は医療機関を受診しましょう。

■対処法

ただ叱るのではなく、どうして叩くのか理由を聞きましょう。その時の気持ちや状況を説明する力がついてくる頃なので、焦らずじっくりと聞くのがポイント。その後で、叩くという行為はいけないことだと教えます。「叩いたり暴力ばかりふるうと、お友達がどう思うか?」ということを、子ども自身にも考えさせましょう。どうすればよかったのか、相手にどう伝えるべきかを子どもと一緒に考えて、叩かないで伝えるように導けるといいですね。

自分でできることが増えて、周囲の期待に応えようと頑張ろうとする年頃。一方でまだまだ親に甘えたいけれど、なんだか恥ずかしいと感じています。親の方から積極的にスキンシップをとって、子どもに安心感を与えて頑張りを褒めてあげるようにしましょう。

絶対にダメ!やってはいけない『しつけ方』とは?

叩かれたら叩き返す

『叩き返す』という方法は、叩き合いになり、いい解決策とは言えません。また、大人が見ていないところで起きた場合、最終的にケガをすることも考えられる危険な行為です。『やられたらやり返す』という方法は、ケンカがエスカレートするだけで解決に導ける方法ではありませんから、絶対にさせないこと。

自分の子どもが叩かれてしまった場合も、叩いた時と同じように「どうしてそうなったのか」を聞きます。理由がわからずに叩かれた時は、痛かったり嫌だった気持ちに寄り添いつつ、相手の子がなぜ叩くのかを聞いてみるように促すといいですよ。

叩かれても我慢させる

「お友達に叩かれても我慢しなさい」というのも、やってはいけない『しつけ』です。叩かれたのにただ我慢させることは「親は味方になってくれない」と思わせてしまいます。また、子どもに我慢をさせ続けると、だんだん自分の意見を言えなくなってくることも。

まずは、「痛くて嫌だった」ということを相手に伝えさせること。それでも解決しない場合や、どうしたらいいかわからない時は、すぐに親や先生に相談するよう教えましょう。

体罰を与える

手や足をパチンと叩く程度の『しつけ』は、場合によって必要なこともあるでしょう。それだけで十分痛い思いをするので、頭や顔を叩く必要はありません。親の感情で叩くのは、『しつけ』ではなく『体罰』です。『体罰』は親に対する恐怖心を与えるだけで、なんの解決にもなりません。「怒られると怖いから叩かないようにしよう」というのは、誤った理解です。

あくまでも「叩くとお友達が痛い、嫌な思いをする」、「叩いても、自分の思いは伝わらないし解決しない」ということをきちんと理解させて、『叩かない』ようにさせましょう。


すぐに友達を叩いてしまう子どもに教えるべきなのは、叩かれたお友達に“痛くて悲しい”思いをさせてしまうということ。相手の気持ちを考えられるようになるのも、成長過程のひとつです。繰り返し考えさせることで、自然と相手の気持ちになって考えて行動することができるようになります。

『叩く』という行為は多くの子どもが通る道であり、相手を思いやる気持ちを育むチャンスです。子どもに寄り添って共感し、考えていい解決策を導いてあげましょう。

photo/PIXTA

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