家族の自死を経験した自分だからできること。CaSyキャストジャーナル④瀬戸島 実千代(せとじま・みちよ)さん【後編】
家事代行のお仕事には、瀬戸島さんの経験した半生と密接な関係がありました。それは2度も起きた家族の自死。忘れられない悲しい出来事は、今の瀬戸島さんのお客様への愛情につながっています。
※「家族の自死」に関する記述があります。フラッシュバックの懸念がある方は閲覧をお控えください。
Contents
先立ってしまった夫。部屋の模様替えから家族の再起が見えた
実は私、夫を自殺で亡くしているんです。うちは夫と子供2人、4人で同じ寝室で寝ていたんですが、当初は子供たちが毎晩泣いて泣いて、「お父さんと一緒に寝ていた部屋では寝られない」と言ったんです。そこで私が、「じゃあ、ベッドの向きを変えてみない?」って提案した。配置を変えてみたら、子供たちが「本当だ!大丈夫になった!」と言って、寝られるようになった。
それから、夫のものもほぼほぼ処分しました。悲しみはいつもあって、思い出すことは仕方がないのだけど、思い出の品が目に入るとさらに悲しくなってしまうじゃない?子供たちが欲しいと思う物以外、ほとんどの品をなくしたら、家族の気分が変わったんです。子供達の状態も、だんだんとよくなった。
部屋の状態は精神状態とリンクしていること、物をなくすことが気持ちに大きく作用することは、そのときから実感値として持ったんです。
つらい思いをされた方の中にはそれぞれ考え方があると思うんですが、私は死んでしまった人より、生きている人が前向きに生きていけることの方が重要だと考えているんです。生きている人がずっと過去に引っ張られて、生きづらくなってしまうことはよくないと思います。今あるこの“時間”をどんな風に過ごすかと考えた時に、家の中を整えるっていうことはすごく重要なことだと思うんです。
「部屋が片付けられない」ことにお客様は苦しんでいる
夫が亡くなった頃にカジーでのお仕事も始めました。家でじっとしていると悲しみに襲われてしまうから、子供の学校の用事や子育てとも並行してできる、融通の効く仕事を始めようと思って。そのときはまだまだ小さなオフィスで、研修も今よりずっと簡単なものだった(笑)。
そうして始めた家事代行のお仕事だけど、今ではやめられない。お客様の中には、私が着くなり泣き出す方もいらっしゃいます。家の中が片付かないことに、ずっとずっと悩んでいらしたんだなぁと思います。ご自分でサービスを調べて依頼をすること、それはすごく大きなハードルです。サービスに申し込んだ、ただそれだけで、もう大きな一歩を踏み出したよね、と思うんです。「元・片付けられない女」で、色々な経験をしてきた私だから、その気持ちがわかるような気がする。
私、実は父親も自殺で亡くしています。普通はこんなこと、人生で2回も起きないですよね。だから私にはきっとやるべきことがあるんだと思うんですよ。
父親を亡くした時、それを隠すように家族に言われました。気持ちは理解できるのですが、嘘を重ねるようでとっても嫌だった。だから子供たちには絶対に同じような経験はさせたくない、と思って、オープンにすると決めたんです。子供たちにも、「あなたたちが話したくなければ話さなければいい。話すかどうかは自分で決めたらいいよ」と伝えています。
▲今ではスキルを買われ、メディアでのお仕事も増えてきた瀬戸島さん。
いろいろな経験をしてきた私だからこそ、救える人がいる
この仕事は私の人生に起こったことと、すごくリンクしているんです。家をきれいにできなくて自分で自分を責めてしまっている人、心を病んで片付けにも手がつかない人が世の中にはたくさんいる。部屋のお掃除だけでもプロの手が入って、きれいにしてあげることで、その人がほんの少しでも浮上するきっかけになったら、すごく嬉しい。
そんな背景があって、カジーの整理収納サービスは「絶対にやるべき!」と思って、私が加茂さん(カジーCEO)に直談判して作ったんです。家事代行でお掃除にする前に、まずは片付かないお家の中を整えましょうっていうのが整理収納サービス。すっきり片付いたら、お掃除代行で維持していく流れを作りたい。
今では私自身もカジーの仕事を続けながら独立して、スタッフを抱えながら、カジーの整理収納サービスを引き受けています。まだまだ小さな規模だけれど、この整理収納サービスを育てていきたい。私の野望はこのサービスをカジーの全エリアに展開して、後継者を育てて、できるだけたくさんの人を少しでも救っていくことなんです。
カジーでの仕事を通じて、いつの間にかテレビや雑誌にも出させていただくようになって、お客様から「テレビで見ました!」「まさかご本人がきてくださるなんて」と言っていただくようになった。でもまだどこかに、「私なんか…」と思う気持ちはあるんですよ。
私より掃除や片付け、すごいスキルを持っている人はいっぱいいる。でもスキルよりもやっぱり、お客様に寄り添って気持ちを満たして差し上げる「満足度」を追求したいと思っています。
そして私の野望をカジーで果たして、おばあちゃんになったら、何か自死遺族のためになる活動を始めたいな、と思っているんです。
カジーの整理収納サービスについて
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