苦手を受け入れ、得意を伸ばす!ヨーロッパの教育から学べること
30年にわたって行われてきた大学入試センター試験が2020年に廃止され、新たに『大学入学共通テスト』が始まります。これまでの『知識・技能』の評価に加えて、『思考力・判断力・表現力』が評価されるテストです。また、あらゆる分野でAI化が加速して、人間の仕事や役割が今までとは大きく変化すると言われています。
このように激変する社会にあって、教育に求められるものも変わっていくでしょう。それでは、海外はどのような状況なのでしょうか?ヨーロッパの教育を調査しました。
”個”を大事にするヨーロッパの子育てとは
四方を海に囲まれている日本は他の民族の渡来が少ない中で、稲作を中心とした文化を育んできました。村落の共同体として足並みを揃える必要があるため、協調性や均一性を重視する民族性になったと言われています。
対して、他国と陸続きのヨーロッパ諸国は民族間の移動が激しく、様々な人種や文化が交錯してきた歴史があります。それだけに、外見的にも文化的にも多様性を受け入れやすく、「ひとりひとり違うことが当たり前」という捉え方がベースになっています。子育てにおいても、それぞれの”個”を大事にして伸ばしていこうという考え方が主流。日本はあらゆる項目で一定基準を超えるタイプが『いい子』『優等生』として評価される風潮ですが、ヨーロッパでは苦手なことを平均にするよりも、得意なことをぐんと伸ばしてスペシャリストとして育てていこうという目線があります。ヨーロッパにおいて『ユニークな存在』であることが尊重されるのは、そんな歴史的な背景も関係しているんですね。
苦手克服より”得意”を伸ばす教育を
このように歴史的にも文化的にも背景がまったく異なるので、ヨーロッパの教育観が日本と違うのは当たり前。でも、子どもを伸ばすのに有効な部分ならば、ぜひ取り入れていきたいですよね。
子どもにはそれぞれ苦手なことや弱みがあり、それを改善したいと思ってしまうのが親心。しかし、苦手を克服させようとすると、ついつい強い言葉で叱ったり心を傷つけるような嫌味な言い方になってしまいがちです。これでは言われる子ども側はもちろん、親側も自己嫌悪に陥る原因に。そこで、ひとまず苦手や弱みにフォーカスすることをストップ!最初は難しいかもしれませんが、いい面に焦点をあてて、その子の個性として尊重することを心がけましょう。
苦手を受け入れるのはとっても大事!
例えば、普段はマイペースだけれど、好きなことには抜群の集中力を発揮する子だとしましょう。親の立場だと「早く勉強してほしい」「お手伝いしてほしい」と、思惑通りに動かしたいがためについつい口出しをしてしまうもの。でも、特定の分野には集中力を発揮するのですから、そこに特化して徹底的にやらせてあげてはいかがでしょうか。好きな分野に集中して取り組むことで得た『学び』や『自信』がきっかけになり、他の部分にもいい影響を及ぼす可能性はおおいにあります。
最近の研究でも、苦手を受け入れて強みに特化するアプローチは、子どもの幸福感や自己肯定感を強めると発表されています。
マナーを教え、『自信=生きる力』を育てましょう
ヨーロッパの中でも、イギリスとドイツはとくにマナーに厳しいしつけをする国と言われています。公共の場で騒いだり歩き回ったりする子どもが日本と比べてとても少ないのは、幼い頃から徹底的にマナーをしつけられているから。食事中は決して席を立たない、食べ物で遊ばない、姿勢を正すといったマナーを親がしっかりと態度で示し、教えているのです。これも子どもを個人として尊重している証。一人前に扱われることで、子どもは自信を持ちます。その自信が生きる力につながっていくといういい循環になっているんですね。
日本のよき文化とともにヨーロッパの子育てにも目を向けて、子ども達がこれからの社会で幸せに生きられる力を育んであげたいですね。
photo/PIXTA
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