不登校や自殺の危機も!小中学生でもかかる「うつ病」に注意
ゆううつな気分が長く続き、日常生活にも支障をきたす……大人のうつ病は広く知られていますが、子どもでもうつ病になることをご存じですか? 学校へ行きたくない、勉強が進まないなど原因は、もしかしたらうつ病かもしれません。
●5人に1人が自殺を考える、子どものうつ病
かつて「子どもにうつ病はない」と思われていました。うつ病というのは人格や性格ができてからかかるものだ、と思われていたのです。しかし最近では、子どももうつ病にかかることがわかっています。
大人のうつ病が放置すると大変なことになるように、うつ病の子どもの5人に1人が「不安な気持ちから逃れたい」と自殺を考えるそうです。
厚生労働省の統計では10〜14歳の子どもの死因で、不慮の事故、悪性新生物(がん)に次いで多いのが自殺となっています。うつ病のサインに周囲がいち早く気づけたら、もしかしたら助けられたケースもあったかもしれません。
●見逃されやすい子どものうつ病のサイン
子どものうつ病には以下のようなサインがあります。
・学校を休みたがる
遅刻や早退、不登校が増えるとき、学校でのトラブルがないか担任や友人に聞いてみましょう。
・異常がないのに体の不調が続く
頭が痛い、お腹が痛いなどの症状を訴えるのに、病院を受診しても何もないとき、うつ病のサインかもしれません。
・眠れない・眠りすぎる
寝付けない、だるい、疲れたなどと言ったり、朝起きられず遅刻や欠席が増えるのも、うつ病が隠れていることがあります。
・食べられない・食べ過ぎる
食欲の変化はうつのサインです。以前は好物だったのに食べられなくなったり、やせた、あるいは、甘いものばかり食べすぎたりしていないか注意してみましょう。
・自分を責めて泣く
理由もなく自分が悪いと言い出して泣くような状態が2週間以上続く場合は要注意。
・問題行動を起こす
リストカットなどの自傷行為、家族への暴力、家のものを壊す、万引きなどの問題行動もうつ病のサインのことがあります。
「学校をサボるために言っている」「思春期・反抗期なんだろう」と片付けてしまいがちですが、普段と違う様子があったら「もしかして……?」と注意して見守ってあげましょう。
親しい人との死別、学校への不適応、友人関係のトラブルなどがうつ病のきっかけになることもあります。
●治療は? 身近な大人にできることは?
うつ病のサインが多く当てはまるときは、早めに医師の診断を受けることをおすすめします。いきなり精神科というのは大人でも抵抗があるものです。まずは、かかりつけの小児科や内科、地域の公的機関などに相談するといいでしょう。
親としては「早く元気になって欲しい」と焦ってしまいがちですが、子どもは心身ともに疲れ果てた状態です。学校や習い事などは休ませ、ゆっくりと休養をとらせてあげましょう。
治療はカウンセリングのほか、薬が処方されることもあります。表面上良くなっても自己判断でやめてはいけません。医師のOKが出るまできちんと治療を続けることが大事です。
学校との連携も大事です。担任の先生はもちろん、養護教諭やスクールカウンセラーなどにまめに連絡・相談をして支えていきましょう。
(ライター・曽田照子)
子育てNGワードの専門家。著書に『子どもが自信を失う66の言葉』学研パブリッシング『子どもに言ってはいけない55の言葉 (マミーズブック)』メイツ出版等多数。
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